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◇金沢式経営学・風と土

ありがとうございました

金沢の文化と経営

金沢式経営「風」と「土」とは

                  ㈱福光屋 社長 福光松太郎  
純米吟醸の初しぼり
福光松太郎氏 吟醸新酒 2001
米どころ、酒どころの石川県のトップブランドであり、特定名称酒(一級と特級)では全国六位の
「福光屋」は、1625年の創業以来376年間、時とともに変化する価値観や嗜好を敏感に感じ取って
時代にあった、酒を常に送り続けてきました。
その秘密は、金沢の「文化と文明」を「土と風」に置き換えての、金沢の歴史認識のもとにした企業戦略であった。

古い民家を利用した寿司屋
 
 ■ 文化と文明 ( 土と風 )

     ・ 地域の歴史がもたらすDNA「土」 (10年ごとの文化断層が見られる)
               と
     ・ 時代の「風」 (コロコロ変わる日々の風)

 (1) 金沢の「土」 (江戸時代に育った、金沢文化のバックグランド)
      城下町の文化        千宗室・小堀遠州などの一大プロデューサーを招く
                       木下順庵・室鳩巣・貝原益軒などの学者も招く、サロン化
      工芸の発達          工芸的・職人魂の誕生と伝統
                       職人の格の向上(京都と比較すれば歴然)
                       一大工芸センターの設立(城内の細工所)
      内発的発展         町民の会合の禁止→個人宅に集まる
           ↓                          ↓
        町民文化の発達         仕出し発生・料理屋の発達・謡の発達
                                      ↓
                            目利きの多い消費市場と「もてなしの心」の発達
                             (金沢では、特定名称酒が八割を占める。秋田は三割。)

 (2) 時代の「風」
     成熟の時代(⇔成長の時代) : 要素  不安・刹那・二極化・都市化・エコロジー ets
         三つのキーワード
               安心     人と人、人が集まる。→ネットワーク
               感性     ライフスタイルの多様化、商品・サービスの嗜好品化
                               ex. 車:燃費・性能のデーターから感性へ
               女性     美しく生きる
                       顧客になれば口コミで広がる。 女性の時代
       売り手と買い手の間の垣根の喪失(ITがもの作りを変える)
                      ↓
                  1つの会社に所属するだけでよいのか?

静かに聞きほれる慣習
福光屋400年の秘密がいま解き明かされる。
 
 ■ ソフトとしての産業とこれからの金沢式経営

 (1) クラフトプロダクションを目指す
       イタリアに挑戦 :感性のある物づくり、職人、嗜好品つくり
               ex. 芸術の大樋焼と紙コップの間 ⇒ 限定的生産・高価値(中の上価値)へ
                                           ↓
                                    供給(大量生産)から ⇒ 提案(限定生産)へ
                                           ↓
                                     ブランド力・価値を構築する

 (2) 企業連合(金沢式経営のあり方)への提案
      北イタリアの成功 :平均事業所社員数 3人
            企画(コンバーター)  ⇒    企業連合    ⇒       全体に対しての、
                         (何百社の事業所をチーム化)        税金・総務・経理 ets
                                 ↓                      (効率化)
                            完成後、チーム解散
 
 ■ 福光屋の企業戦略

 (1) 活動領域の明確化
      ・特定名称酒しか造らない

 (2) 企業目的の明確化
      ・おいしい日本酒を追求する
      ・より深い食文化を提案する
      ・楽しいコミニュケーションをお届けする

 (3) 活動拠点
      ・金沢の酒蔵にこだわる
      ・金沢の大きさが酒を育てる      ⇒ 石川県を酒の名産地に!
      ・金沢から世界に発信する           (県内では、酒蔵どうし手をつなぐ)

 (4) 善循環をめざす   
連結を目指す
  「黒帯」など具体的に稼動中

 (5) 微生物主義
      ・酒は、人が造るのではない
      ・人が微生物の活動を助ける
      ・人の都合で酒造りを変えない

機械が造る酒 人が作る酒 酒造りの伝承は、

 60%が、科学的根拠あり
 20%が、科学的根拠なし
 20%が、いまだ不明
・その時だけで進歩がない 
・時がたてば⇒お客様の感性が先に行く 
・さらなる進歩がある 
・100年後もある

    技術の進歩
        精米機が、足踏みから水車になった時 ⇒ 美味くなった。(熱燗が出来るようになった)
        「バイオテクノロジー」 ⇒ 「麹」  新しい味の提案

 (6) 風土主義で考える

   ・風とは何か?    (変えるべきもの)
   ・土とは何か?    (変えてはならないもの) 

   社会が変わると、嗜好が変わる    
戦後~復興期 (肉体労働) 甘口
経済復興期 (頭脳労働) 辛口化
現在 (ストレス社会) 軽い
すっきり
すっぱい

     目標 : うまくて、軽い酒!    熟成させた「黒帯」や「つぼみ」
             ↓
           商品開発 : アンテナを張り、感性を磨く
                          ↓
  造る酒の感性を杜氏に伝えるためのデーター化・言語化(コミニュケーション)に1番時間がかかった
                現在、稼動中    企業秘 

 (7) 伝統とは、革新の連続である

     ・伝統は創造する
     ・世界へ広める
     ・この時代を預かる

          父の時代の時の酒はない、お客様も同じではない。


これは、2月20日 中小企業家同友会に福光松太郎氏をお招きし「これからの企業戦略」と題し、懇切丁寧と講演を行っていただきましたものを、まとめたものです。
あらためまして、福光松太郎氏ありがとうございました。

福光屋さまのサイトは、 http://www.fukumitsuya.co.jp/

試飲もかねて
各テーブルで討論

実行委員のメンバーで打ち上げ
のぶチャンは後ろの真ん中です。
今年の戦略商品・吟醸酒。