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◇金沢の風物詩めったに手に入らないイナダ

金沢・夏の風物詩 いなだ


梅雨に入る前、神の御技と
職人芸でブリが
「食の芸術」へと昇華します。

この大きさの天然ブリが こんな姿になっちゃいます。
関東・東京方面では、ブリの小さいのを「イナダ」と言いますが
ココ金沢では、天然ブリを天日で干し上げた者を「イナダ」と呼び珍重されます。
のぶチャンの一口メモ!  φ(.. ) φ(.. )  メモしておこうd(^-^)ネ!  φ(.. )   

ブリは出世魚といわれ、大きさによって呼び名が変わります。
東京では、 稚魚を ワカシ → イナダ → ワラサ → ぶり
関西では、 ツバス → ハチメ → メジ → ぶり
金沢では、 こぞくら → ふくらぎ → がんど → ぶり

これだけ憶えただけで、今日ここにきた甲斐はアッタよ!  (^-^;)

■ イナダって、なに?
今年は例年になく、たくさん作れました。
もともとは、加賀藩三代目前田利常の時代(1605年頃)に作り始めたもので、
夏は魚の鮮度が落ちやすく、新鮮なものが食べられなくなるため冬に捕れるブリを塩漬けし干して保存しておいたものを夏に食べるという、生活が生んだ保存食でした。

毎年7月には、江戸の将軍のもとへ献上品として贈られ、その珍味が徳川家光に大変愛でられ賞賛されました。 以来今日に至るまで最高級の珍味として又夏を呼ぶ食材としてのお中元の高級進物として最上の物として喜ばれてきました。
片身で2万円を越えるほどの最高級品であり、その生産数は少なく年々希少価値が増しています。
薄くスライスしてそのままいただくのですが、口に入れた瞬間から濃縮された芳醇な香りと、野趣豊かな味が口からノドヘ鼻へと抜けて行きます。
一度機会がありましたら、御賞味下さい。

■ なぜ、イナダは高いの?
もともとは冬に捕れるブリを夏に食べるための保存食でした。でも時がたち食の必然性が生んだ「イナダ」は「食文化」として洗練され「食の芸術品」に変貌を遂げました。

冬の天然ブリは、あぶらがタップリとのり、それはそれはおいしい物です。
ただしそれは生で刺身で焼物で食べればの話しです。あぶらののったブリを塩漬けし干し上げれば( ̄^ ̄)ト-ゼンあぶらが乗っている分、身にあぶらが浮いてきます。これが最悪です。いわいる脂が回った状態です。生で食べるとおいしいアブラが最低の邪魔者となってしまいます。

食べ方・調理法    養殖のブリが最低の素材だと分っていただけますか。

素材は、夏ヤセした、アブラののっていない、、肥えた太ったブリ?
          (神が創られしイナダ)
アブラが邪魔者としたら、アブラののっていない夏ヤセ?した、でも身はしっかりと肥えた天然ブリを使うのが最高の素材となります。
そんなのが、あるか!  とクレームの嵐が聞こえてきそうです。
あるわけないですよね。普通。

この相反する命題を解決できるブリ、「イナダ」を創り上げる最低条件とは、何百本、何千本に一本の割合である時もあれば、一年間まったくない時もあります。
まさしく神が金沢のほうを向いて微笑んだ時、神の御技のみが「イナダ」を創り上げます。

女性でいえば、ウエストがキュ~と締まっていてスレンダーだけど出るべきところはバ~ンと出ている・・・・・

【ああ!セクハラ! せくはら! 最低! 
                  by:外美恵(のぶチャンの奥さん)】
    失礼しました。  m(_ _)m

2年前は、のぶチャンの元に10本しか集まりませんでした。
3年前は、ゼロ!
4年前は、3本!

あれば幾らでも自分は売る自信があります。
作っている職人さんも「いいもの」を作りたいのです。
でも、作るには、材料・「夏ヤセしたブリ」がいるのです。
まずはブロックに分けます
一気に力をいれて
お好きな大きさにカットして、
皮をむきます
■ 安いイナダもあります。
この世の中には「そんなにいい物はイランガ。(金沢弁:いらない)」
 「誰が分るが(金沢弁:わかる人はいない)」との信念の人もいます。

そんな人は、少しだけ夏ヤセしたブリを使います。  ひどい人は養殖ブリを使います。
写真でも分りますが「イナダ」は干してあるのでアミノ酸が身の上に浮いてきて粉を吹いたような状態になります。
これを逆利用する人もいるとの悪いウワサも耳にします。
身にアブラの浮いてきた「イナダ」に片栗粉をつけて、アブラを取り、おまけに手品のように白い粉をつける。
あくまでも、ウワサ、黒い噂。  でも、まともなお店で買えば大丈夫!

どの位なら、おいしいの? 何て聞かれても、説明するのはムズカシイのです。
経験あるのみ。騙されてダマサレテ、目利きになっていくのです。
のぶチャンなんか、どれだけ騙されたか。 それが肥やしになって現在があります。

          (まだ足りないヨ! 女性で・・・・   by:外美恵) 
              _(・・;φウッ・・・    大きな口たたいて、スイマセン。

マア、ともかく7月に金沢に来たら店頭にぶら下がっているイナダを見てください。
あなたの目利き度が分ります。

■ こだわりのイナダ
取れない所は刺抜きで
スライスしますョ
極薄く、ペラペラにして、
このまま食べるのが一番
酢に漬け込んでもOK

最近ネットで見つけたお気に入りのフレーズがあります。
「動機は善なるや。私心はなかりしや」 いい言葉でしょう。  グー! (^O^)g

自分もイナダを作る職人さんも、まっとうな仕事をしてお客さんにおいしい物を食べてほしいという気持ちだけでやっています。
妥協はしません。たとえ一年間ゼロでもいいのです。
でないと、神の創られた「夏ヤセのブリ」に失礼でしょう。
もっともそれに対して報酬を取る事を否定はしません。(のぶチャンって正直でしよう。)

去年は18本が手に入りました。
今年は、7月2日に電話が入りました。
「のぶチャン、イナダができたヨ。一番最初に見に来てくれる。」  (職人さん)
「今年は予約注文受けただけの分ある?」              (のぶチャン)
「今年は豊漁だけど、あんまり選り好みしないでョ」         (職人さん)

何年もの付き合いで、出来上がると一番最初に見せてもらう事になっています。
見に行くと100本を越えるイナダが出来上がって僕を待っていました。
「本当に大漁だったんだ」 もちろん「夏ヤセした、肥えた天然ブリ」です。
これからがやっと自分の仕事になります。 この中から選りによります。(嫌な奴でしょう。)

小さな物より大きな方がおいしいので半分は消えてしまいます。
鮮度が良い状態で加工するので身が跳ね上がった状態で干し上がった物は、品質は同じながら包丁が入れにくいので保留となります。
1匹1匹身の状態、粉の付きあがった状態をチェックしていきます。

職人さんが納得のいく仕事をし、のぶチャンが確認をする。
(職人さんゴメン  m(_ _)m  信用していない訳ではないのですョ、仕事なんです。)

今年は28本の極上のイナダが手に入りました。
のぶチャンは、これを「献上イナダ」と命名して販売しています。
予約を受けた数に8本足りませんでしたが、必要なのは数ではなく品質なので、お客様も納得していただきました。
めでたし、めでたし。

  「イナダ」が出来上がると、金沢にも夏の風が吹いてきます。

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